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「沢田は俺の幼馴染。通勤電車で気になるヤツいるって話してたら、それがアイツの部下だって分かって。沢田がなんとなく渉に素養を感じるから試してみようっていうからさ」
「素養?」
「アイツ、ああ見えてその界隈ではやり手なんだよ。さすがに幼馴染に指突っ込まれんのは抵抗あったけど」
「指ぃっ?」
沢田はあの満員電車で、指だけで、実際に身体を交えているのかと勘違いするほどに、優を追い込んでいたというのか。
「沢田に感謝だな」
優が満足気に笑い、俺の胸に頬を寄せる。
あぁ、そうだ。結果オーライだ。
俺は愛しい恋人を強く抱きしめキスをする。
今までなんとなく、何でも卒なくこなしてきた俺が、こんなに人を欲しいと思ったことは初めてで、奪いたくて、乱したくて堪らなくなったことはない。
――一目惚れってヤツだな。これは。
ひしめく人の中で優を見つけ、恋に落ちた。
頭の隅で、ふと「そういえば、この人、一体何歳なんだ?」と思ったが、まぁそれも、どうでもいいことだ。
- end -
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