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「う……っ。アンタが辛いかと思って休んでんのに余裕あんじゃん。……ホント、痛くない?」
試すように、貫いたそれで小さく揺する。
気を落ち着けて見ると、鬼淵は額に微汗を浮かべていた。
「ん……、嬉しいから平気。相川サンが悦いようにして」
「それって痛いってことじゃねーの」
「うん、相川サン、沢田さんのより全然大きいし、すごくキツいけど悦いんだ。俺ン中、相川サンのカタチにしたい」
「……アンタ、わかってて煽ってんだろ」
そんなことを言われて喜ばない男はいない。
「うん。当たり前じゃん。もっと相川サンと気持よくなりたいんだよ」
――この小悪魔。
俺は鬼淵の身体を抱え直し、片足を高く上げて、更に深い結合を迫る。
「えっ、ヤダ、それ、深ぁ……っ!」
「俺のでもっと悦くなってよ。お前がもっと乱れたトコ見てえ」
どこまでが挑発で睦言なのかわからない。
なにしろ言葉を交わしたのも、顔を合わせたことすら、今朝が初めてなのだ。
それなのに出会った早々こんなにもお互いの身体の深いところを繋げてる。
――それって、もう、そういうことだろう。
「出して……っ。もう俺の中に、相川サンの……っ」
「またそんなこと……っ、アンタってホント人のこと煽りすぎだろ」
狭い隙間に熱を放った瞬間の絶頂は体験がある。だが、今、この男の中で放ったなら、過去の経験を完全に凌駕する悦が待っていることを、俺は直感した。
しかし、俺はまだこの男の挑発に負けるわけにはいかない。
沢田に身体を許していたコイツを、今後、俺以外の誰ともする気がおこらないくらい、めちゃくちゃにガツガツに感じさせなければならないのだ。
「まだダメ」
「え……――――」
絶望を孕んだ鬼淵の素直な声に、うっかり達きかけた。
「マジ、アンタいい加減にしろよ――」
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