神無月の出会い

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今日から10月ですね。 しかし、天気はなかなか秋らしくはなってくれないようです。 九州は最近の温暖化の影響もあり、まだまだ暑い日が続きそうです。 7時30分。 リビングで1人納豆ご飯を食べていた僕に、確かテレビはそう言った。 スウェットを脱ぎ捨ていつもの制服に袖を通す。 3年目ともなれば制服もくたびれる。学ランの左袖のボタンが取れそうなことも、2週間前から気付いている。でも見て見ぬ振りをしている。 だって僕も大学受験だの就職だの考えて、くたびれているんだ。 「お前も僕も毎日お疲れ様。」 学校に行く憂鬱さとは恐ろしいもので、朝から1日が終わってしまったような挨拶を鏡越しに学ランにしてしまうほどである。 「朝からキモいZO★自分。」 ツッコミも当然ながら、くたびれている。 外の日差しはまだまだ熱を帯びている。 長袖一枚で過ごせる今を僕は嫌いではない。 外に出る前はとても憂鬱だったが、一歩出てしまえば忘れてしまう。鼻歌なんかも歌っちゃう。外に出るまでが憂鬱なんだ。バイト前もだいたいそう。 人間なんて勝手な生き物よ。なんて考えていた時ー。 「ちょっと、其処の貴方。」 突然背後から鈴の鳴るような声が聞こえた。
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