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「…夢かぁ…」 天井に張った、大好きなバスケの西山選手のポスターを眺めながらさっきまで見ていた夢を反芻する。 あれは確か…私が年長さんの時だから、10年以上前の懐かしい出来事。 両親の職場仲間の息子さんの「たかちゃん」 正確な名前は既に忘れてしまったけど、小さい頃は何度か遊んでもらったりした優しくて楽しいお兄ちゃん。 窓際に置いてある七宝焼の小さな宝石箱をそっと手に取った。 その中に入っているのは、たかちゃんに貰ったおもちゃのパールの指輪。 そして、枕元の写真立てに目を向けた。 小さな私達が、「世界で一番幸せ」だって信じて疑わない顔をしている。 「新学期のスタートに良さそうな夢ってカンジ??」 窓の外には薄紅色の花びらがちらほらと。 私こと、小山内ゆり(おさない・ゆり)、高校最終学年の始まりの朝は至極上機嫌のスタートを切った。
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