1-捜し物

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「おやまぁ、珍しいお客さまだ…いよいよ、わしにお迎えがきたのかな…」 「……あんたに用はないよ……」 虚ろな目を一瞬だけ老婆にむけるとそう言って、男はカウンター席に腰をおろす。 アルコールを注文すると老婆からまた声がかかる。 「…探し物をしているね……」 「…………」 「また難儀なものを……」 「……っ!……」 その瞬間、虚ろだった男の目に怒りがともり、店のガラスというガラスがすべて砕け、明かりが消えた。 怒号や悲鳴が店内に響くなか、男と老婆だけは落ち着いていた。 「……最近森が妙に騒がしいよ…あんたの探し物かもしれないねぇ…」 「……」 男は暗闇でパニックになっている店内を何事もなかったように 出ていった。
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