次の恋に生きるため綴る詩

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普段タバコなんて 吸わないのに、妙に銘柄が気になって スラリと伸びる指先に釘付けになった この芳香こそが、恋の痛みなのだと悟る冬 学び舎の彼はタバコの煙を煙たがてたっけ 妄想癖が顔を出しココアで満たす恋心 まだ子どもだと思っていた 二十歳(はたち)の誓いの振り袖は 恋を運ぶの意味を持ちながら 彼の側を通り過ぎてしまう 泣いて、鳴いて、ないて、泣く 逃げ去るような鼻緒が指を痛める 偶然が幾重にも 絡まり合い、乗せてもらった助手席で 車内に流れる思い出の曲に耳が心地良い 隣に座るのは彼ではない、恋のいたずら凍みる雪 学び舎で机並べて笑み浮かべたのはいつだっけ 懐古癖が顔を出し暖め合った両の手 一緒に夢を描いた歳になって 十八の春の卒業文集は I respect you.(お慕いしています)で締められながら 彼には読まれていなかった 好き、すき、好き、好きだった 一方通行な文字が涙を誘う 時に彼を思い出しながら私は次の恋に生きてみます。 image=498054958.jpg
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