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ドキッとして、目を白黒している間にチュッって音がした。
感触からも、今キスされた! って気が付いて、途端に顔が熱くなった。
こういう不意打ちは、泉さんの得意とするところで、私はいつも驚かされるし、恥ずかしいし、どういう反応をしたらいいのか困る。
私がアワアワして反応が鈍いから、泉さんは困った顔で笑った。
「どうしよう……、お腹が空いてきました。食べていい?」
更に耳元に唇を寄せて色気全開で囁くから、私は固まって、心臓もバクバクで……。
どうしたらいいのか、ますます分からなくなってしまう。
こんな時、何て言えば正解なの?
こんなこと誰にも聞けないのに、全く正解が思いつかない……。
「光さん?」
顔を覗き込まれる。何か言わなきゃ。
「あ……あ……夕飯、うちで食べますか?」
冷蔵庫の中身を思い出しながら、夕飯に誘ってしまった。
泉さんは、そんな私を見てすごく嬉しそうに微笑んでくれた。
だから、これで正解だったのかな。いいのかな、と様子を伺う。
「そんな目で見ないでくださいよ。今すぐ食べたくなるから……」
口元を抑えて、少しはにかんで私を見る。
「え!? そんなに?
じゃあ、すぐに帰って用意するか……、もしくはどこかで食べて帰り……」
言い終わらないうちに、ぎゅーっと抱きしめられた。
「光さん、好きです」
泉さんの声がくすぐったい。
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