☆ 泉さんの声色

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 ドキッとして、目を白黒している間にチュッって音がした。  感触からも、今キスされた! って気が付いて、途端に顔が熱くなった。  こういう不意打ちは、泉さんの得意とするところで、私はいつも驚かされるし、恥ずかしいし、どういう反応をしたらいいのか困る。  私がアワアワして反応が鈍いから、泉さんは困った顔で笑った。 「どうしよう……、お腹が空いてきました。食べていい?」  更に耳元に唇を寄せて色気全開で囁くから、私は固まって、心臓もバクバクで……。   どうしたらいいのか、ますます分からなくなってしまう。  こんな時、何て言えば正解なの?  こんなこと誰にも聞けないのに、全く正解が思いつかない……。 「光さん?」  顔を覗き込まれる。何か言わなきゃ。 「あ……あ……夕飯、うちで食べますか?」  冷蔵庫の中身を思い出しながら、夕飯に誘ってしまった。  泉さんは、そんな私を見てすごく嬉しそうに微笑んでくれた。  だから、これで正解だったのかな。いいのかな、と様子を伺う。 「そんな目で見ないでくださいよ。今すぐ食べたくなるから……」  口元を抑えて、少しはにかんで私を見る。 「え!? そんなに?   じゃあ、すぐに帰って用意するか……、もしくはどこかで食べて帰り……」  言い終わらないうちに、ぎゅーっと抱きしめられた。 「光さん、好きです」  泉さんの声がくすぐったい。
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