紅茶はいかが?

10/10
前へ
/10ページ
次へ
昔あった出来事を思い出し、少し頭痛がする。 人を、殺した。 「どうしたんだよ。真っ青だぞ?」 それは、誰にも話していない、俺だけが知っている秘密。 あの夢は、この出来事を思い出させる為の、俺の中にある罪悪感が見せたものなのだろうか。 「気分が悪い…。なぁ、もうここを離れよう」 この公園に長居するのは気味が悪く、友人を急かしながら大通りへ出た。 大通りは溢れるほどの人の数で賑わっていた。 人にぶつかりながらも、俺は前へ進んだ。 「「ねぇ、お兄さん」」 その声だけがとてもクリアに、耳に届いた。 振り返ると、金色の髪を2つに結んだ小さな双子の姉妹が笑っていた。 夢で出会ったお婆さんらと同じ、あの気味の悪い服装で。 双子は生気の感じられない目で真っ直ぐに俺を見据え、そして、言った。 「「紅茶はいかが?」」image=497807399.jpg
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加