紅茶はいかが?

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目を覚ますと、そこは見知らぬ公園だった。 近所に公園なんかない。 ふと隣を見ると、俺と同じで新聞紙にくるまって寝ている友人がいた。 冷たい風が鼻先をかすめたのと同時に、思い出した。 ここは、日本じゃない。 俺は今、友人が福引きで当てたパリ旅行にきている。でも、泊まるホテルが見つからず、近くにあったこの公園で寝泊まりすることにしたのだった。 「……あー…」 こめかみを押さえ、なぜこいつとこんな寒空の下、ホームレスみたいなことを海外でしなきゃいけないんだ、と友人のパリ旅行の誘いに乗った自分を咎めた。 そんな憂鬱な気持ちを忘れるように、目を強く瞑る。 ―――いかが? 眠りにつくほんの数秒前、なにか昔の事を思い出した…、ような気がした。
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