紅茶はいかが?

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そこまで近くはない距離にいるのに、すぐ側で囁かれてる感じがして、背筋が震えた。 速まる鼓動も呼吸も整え、ゆっくりと後退りをする。 その間も耳元ではお婆さんらが交互に「紅茶はいかが?」と、繰り返している。 タイミングを見計らい、一気に踵を返すと広場を走り抜ける。 なるべく広場から遠ざかるように、走った。 しかし、 「紅茶はいかが?」 声が、聞こえた。すぐ、側で。 通り過ぎる景色の一部に、お婆さんが見えている気がする。 「紅茶はいかが?」「紅茶はいかが?」「紅茶はいかが?」「紅茶はいかが?」「紅茶はいかが?」 走っても走っても、公園を出ても、その声はずっと近くで聞こえてきた。 建物の間や、街灯の下、行くところ全てにお婆さんが見える。
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