紅茶はいかが?

9/10
前へ
/10ページ
次へ
女性と俺の周りには大量の血が流れていた。 頭は真っ白になり、しばらく元は綺麗だった女性を見ていた。 我にかえったあとは、斧を捨て、袋を持って、玄関まで走った。 誰にも見つからないよう、でも急いで、その場所から逃げた。 玄関手前に少しだけ扉が開かれている部屋があり、その中に大きなベビーベッドが見えた。 暗かったが、それだけははっきりと見えた。 屋敷を出て数分後、使用人の甲高い悲鳴が響いた。 俺は振り向かずに、ただ走り続けた。 走っても、走っても、生前の女性の声が頭の中で響いてくる。 「紅茶はいかが?」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加