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「ねぇ、産んでもいいでしょ? 私とナオキ君の子供」
「ま、待ってくれ。産んでもいいかって、おまえ幽霊だろ? なんで幽霊が妊娠するんだよ?」
「そんなこと言われてもわかんないよ。私だって初めてなんだもん」
そりゃそうだ。
って納得してる場合じゃない!
この歳でオヤジ、それも相手は幽霊。
そんなバカな話が有ってたまるか。
ちゃんと病院行って降ろしてもらって、でも、それだと金が掛かるからカンパしてもらわないと。
って、そうじゃない。
なんで幽霊が妊娠なんかするんだ!?
嗚呼、やっぱりちゃんと避妊するべきだった。
いや違う、そういう問題じゃない。
「ねぇ、ナオキ君、1年の2学期に隣の席になったの憶えてる?」
「あ、ああ、憶えてるよ」
「私が英語の教科書忘れた時にさ、俺は日本男児だから毛唐の言葉なんて必要無いって言って教科書貸してくれたよね?」
「そ、そうだっけ?」
「うん。それで私が忘れたのにナオキ君が立たされちゃって、でもナオキ君、気にすんなよって言ってくれた」
「おまえ、よくそんな事憶えてるなぁ」
「憶えてるよぉ。あの時ね、ナオキ君てツッパッてるけど、本当は優しい人なんだって」
「い、いやぁ、俺はそんなに優しい男じゃないって」
「ふふ。照れてる。そーゆーところがいいんだよね、ナオキ君は」
なんだ、このラブラブな雰囲気は?
冗談じゃねぇぞ。
これじゃまるで恋人同士じゃないか!
いや、すでに妊娠してるから恋人以上か?
ああああ、なんてこった!
「うっ」
美由紀が微かに顔をしかめた。
「ど、どうした?」
「今、動いた」
動くかぁぁぁ?
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