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参:夏来たりて、除霊師玄之丞妖しき美少女と対決す
7月の2週目に入ると、梅雨明け宣言が出された。
鬱陶しい雨雲は姿を消し、抜けるような青空が広がっている。
美由紀はほぼ毎晩ナオキの部屋に通い続けている。
「ねぇ、そろそろ期末試験でしょ?」
「関係ねぇよ。俺は勉強なんかしねぇから」
「こっそり答え教えてあげようか?」
「そんなこと出来んのか?」
「うん。ナオキ君以外の人に見えないようにすることは出来るよ」
「う~ん、やっぱりやめとくよ」
「うふ。ナオキ君ならそう言うと思った」
美由紀は嬉しそうに微笑んだ。
ナオキのほうも今では美由紀と話すことに抵抗がなくなっている。
幽霊と言っても、別に何か悪さをするわけでもない。
元々学年で五本指に入る美少女だし、1年の時からの付き合いでもある。
そのうえ自分の子を身篭っているとなれば、情が移らないほうがおかしい。
(これで美由紀が幽霊でなけりゃなぁ)
いつの間にかナオキはそんなことを考えるようになっていた。
まぁ幽霊じゃなかったとしても、父親になるってことはとんでもないことなのだが、それでも愛しそうにお腹を撫でている美由紀を見ていると、それも悪くないかなと言う気がしてくる。
美由紀の腹が最初に来た時よりハッキリ大きくなっているのがわかる。
まだせいぜい3ヶ月。
こんなに大きくなるワケはないのだが、やはり幽霊だからかも知れない。
「美由紀、おまえ最近なんか顔色悪いな」
いや、幽霊だから顔色が悪いのは当たり前か。
「うん。お天気のいい日は体調が良くないの」
「幽霊ってそうなのか?」
「多分そうだと思う。明るいところはダメ。それと、乾燥してる所よりも湿ってる所のほうが居心地がいいみたい」
「じゃあ、晴れより雨の方がいいんだな」
「私、あんまりドシャ降りも好きじゃないの。シトシト降ってる時が一番気持ちがいいよ」
そう言えば、最初、音楽室で犯っちゃった時も霧雨が降っていた。
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