そう言えば、

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そういえば、と思った 俺は相手のことをなあ、とかおい、とか殆どそんな風にしか呼んでない気がする 相手は毎日毎日此方がうんざりする位に陽人せんぱぁい、と抱き着いてきてくれるのに、だ …俺は元々身体が弱いからと昔は入院ばかり繰り返していて、学生時代はそのことで心無い奴に虐められてきたからか、中々自分で言うのもなんだがひねくれている おまけに、もう入院はしなくてもいいがそれでも身体が弱いからと今の生活費云々は全部相手がバイトで賄ってくれている アイツは可愛くもない俺の何がいいんだろう そんな質問をした日には「じゃあ分かって貰えて無いみたいなんで俺の愛をたっぷりと身体に教えてあげるっすよ、先輩」なんていい笑顔で詰め寄ってくるだけなんだが それでも、どんなに相手が俺には勿体無いような爽やかイケメンでも、現在アイツとお付き合いしてるのは俺であって アイツは何を血迷ったか俺のことが監禁したいくらいに好きらしいし、まあ俺も監禁は嫌だけどアイツのことが好きであって 一応付き合ってるのに、ならこの状態はマズイよなあと今更危機感を覚えたわけでして 俺は少し、少しだけ頑張ってみることにした 忙しい朝の時間、今俺達は二人でシェアハウスという名の同居をしているが、相手は俺の分の生活費まで稼ぐために日々バイト漬けで きっと今日もそうなんだろう、慌ただしく動き回っている だけど、そんなの俺にはカンケ―無い 思い立ったが吉日、すぐに行動だ 「なあ」 「はい!」 何ですか、先輩! バイトに行く準備を進めながら相手はそう返事をする 朝からなんでそんなに爽やかなんだ、イケメンなんて死んでしまえ 「…やっぱり何でもない」 「はは、なんすかそれ」 爽やかに笑って鞄を持ったアイツが玄関に向かう 「あ、おい、」 「すいません、先輩。もう出ないとバイトに間に合わなくなっちゃうっすから」 申し訳なさそうに言ってドアノブに手を掛けた カチャリ、まずい行ってしまう 早く言わないと 「なあ」 「はい!」 「あの、」 「はい」 「……」 「…先輩?」 うーん、やっぱり恥ずかしい どうしよう、寧ろ何をどう言えばいいのか 「あの、先輩」 相手も流石にちょっとイライラしてる 「ほんとに、もう、やばいんで、」 続きは帰ってから聞きますから、ガチャリ、いよいよ足が外に出た
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