そう言えば、

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「ま、待って!」 帰ってからって、それじゃ遅すぎる 取りあえず引き止めなきゃと後ろから背中に抱き着いた でも、時間もないからずっとこうしているわけにもいかないし もう、なんでもいいか そのまま、素直に言えば 「なあ」 「はい」 「あのな、」 「はい」 「おれ、しゅうやがすきだ」 優しいところも、カッコいいところも、笑顔が可愛いところも、仕事に一層懸命なところも、俺が好きすぎて時々残念なところも 全部ぜんぶ、愛しくて、大切で …よし、言った、俺は言ったぞ 一言だけしか言えなかったけど、俺の気持ちは全部詰まっているから 言えたことに大満足出来た俺はそっと背中から手を離す ……そうしたら、今度は何故だか秀哉がくるりと振り返って正面から抱きしめてきた おい、バイト遅れるぞ?まあ、俺が言える義理じゃないが 「…なんで」 「ん?」 「そーゆーこと、」 言うんすかぁっ! ぎゅっと、まるで俺で搾りたてジュースでも作るくらいにぎゅうぎゅうと ズルいっすよ、このタイミングで言うの!おかげでバイト行きたくなくなりましたよ、どうしてくれるんですかぁ、なんて いつもと違う声でわんわんわん吠える相手にそっと頬を緩めて そんなの 「そんなの、」 「はい?」 「お前が」 「はい」 「俺を好きすぎるのが悪い」 我ながらなんて自意識過剰な台詞だ だけど、お前はそんな俺のことが好きなんだろ? ばんっと背中を叩いて、外へと身体を押す 「バイト頑張れ」 「せんぱ、」 「でも早く帰って来いよ寂しいだろ待ってるから」 「っ、」 息をつめた恋人の顔にくすっと笑みを溢して 俺の言葉に真っ赤な顔をした愛しい人は、何故か俺を食い殺されそうなぎらついた眼で見てくる 「……先輩、俺が帰ったら覚悟しといてくださいね。今日は優しくできませんよ」 「オッケー、楽しみに待ってるな」 「っ、もおーっ!」 ほんとどうしたんすかいつものツンはどこに、と叫ぶ姿ににっこり笑った 「いってらっしゃい」 いつまでも君を待っているから ――――大好きな君の隣は俺のもの fin.
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