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「異常がないって幻聴と幻覚が・・・。」
「脳波に異常は見られません。精神的なもので、そのうち収まると思います。軽い安定剤でも出しておきますね。」
「・・・そうですか。」
家に帰ると、両親が玄関で待っていた。
「なんで言ってくれなかったの?」
「まあまあ、母さんそう攻めるなよ。」
「・・・もしかして、幻覚のこと誰かに聞いたの?」
「あぁ、スクールカウンセラーの先生に聞いたんだ。」
麗香はため息をついた。
「ごめん、心配かけたくなくて。」
母親からのお説教がくるかと身構えたが来たのは謝罪の言葉だった。
「ごめんね、一人で苦しんでいるのに気づいてあげられなくて。」
「え?ううん、こっちこそ黙っててごめん。」
「あいつがストーカーになったのも、自殺したのも、麗香の責任じゃ無いんだからね。」
「別に責任なんか感じてない、むしろ、言い方悪いけど死んでくれて清々してたのに・・・。」
「まあ、もう終わったことだ。もうあいつは死んだ、二度と生き返る事はない。幻覚だってそのうち治るさ。あぁそうだ、母さん、今日は麗香と一緒に寝てやりな。」
「うん、そうしてくれると助かる、一人になるとあいつが出てくるから。」
「なら、学校から帰るときも友達と一緒に帰るようにしなさい。」
「分かった。」
*
数日後
「幻覚がどんどんひどくなってるんです!」
「ひどくとは、どのような感じでしょうか。」
「最初はぼんやりとしか見えなかったのがはっきり見えるようになったんです!!影みたいだったのが今は肌の色や服まではっきり見えるようになって!!!」
「小出さん、気持ちは分かりますが、落ち着いて下さい。ほかの患者さんもいらっしゃいます。」
「・・・すみません。」
「とりあえず、安定剤を増やしておきます。」
「・・・分かりました。」
処方された安定剤を多めに飲み、麗香は学校に向かった。
「みんな、おはよう。」
所が、麗香が教室に入ると。空気が一瞬ざわついた。
そして、麗香の隣の席の洋子が来た。
「ごめん、私たちもう麗香と一緒に帰れない。」
「え?なんで?なんでよ!」
「昨日、クラス全員の夢に琴田が出てきて、「「僕が出やすいように、麗香に近ずくな、近ずいた奴は健太みたいな目に遭わせる」」っていってきたの。」
「・・・健太はどうなったの?」
「原因不明の高熱で意識不明。」
「・・・そんな。」
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