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カラオケボックスはにぎわっていた。
一つのグループが上機嫌で出てきた。
「んじゃ!解散で!」
彼らはてんでバラバラに解散していった。
小出麗香も家に向かった。
「やっと一人になってくれたね。」
いきなり後ろから聞きなれた、そして、もう聞きたくない声がした。
麗香は辺りを見回したが誰もいなかった。
「気のせいか。」
「気のせいじゃないよ。」
やはりあたりには誰もいない。
「あたりに人がいないからやっと出てこれたよ、これからまたよろしくね。」
ウソだ、あいつは死んだはず。
麗香は逃げ出した。
*
一週間後
「なあ、大丈夫か?最近元気ないけど?」
麗香の幼馴染の健太が話しかけてきた。
「ありがとう、信じなくていいけど、聞いてくれる?」
「うん。」
「実はさ、一週間ぐらい前から、幻聴が聞こえるの。」
「幻聴?」
「琴田の声で、ぼくは琴田の幽霊だとか言って。」
「琴田って、琴田光の事?お前の元彼の。」
「うん、先月自殺した。」
「・・・大丈夫かそれスクールカウンセラーの先生とかに相談した方がいいんじゃないか。」
「あ、そうだね、今日相談してみる。」
そこでチャイムがなった。
「なんかあったら、まわりの奴にすぐ相談しろよ。」
そう言い残して健太は自分の席に戻った。
隣の席から、あんたもう次の彼氏作ったの?などと冷やかしの声が聞こえたが、それに言い帰す余裕は無かった。
*
「判りました、またひどくなるようだったらお医者さん紹介するから。」
「ありがとうございます。」
カウンセラーに元彼が付きまといをしてきた事、元彼が自殺した事、そして幻聴の事を話して少し気が楽になった麗香は家に帰ろうとした。
「今日健太とはなしただろ。」
まただ。一人になるとすぐに幻聴が聞こえる。
麗香が無視していこうとすると、
「え?」
目の前にうっすらと人の影が見えた。
「だめじゃないか。僕という人がいるのにほかの男と話したら。」
「うそ!?何で見えるの?」
「あぁ、これ?君が僕の姿を見たがってるんじゃないかと思ってね。」
「うそ!やめて!お願い消えてよ!」
「なにいってるんだよ。大丈夫、今は陰だけだけど、そのうち姿がはっきり見えるようになるよ。」
*
その翌日、麗香はカウンセラーに紹介された医者に行った。
「特に異常はみられませんね。」
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