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「だから、ごめん、私たちもう一緒には・・・」
「待って!お願い!一人にしないで!一人になったらあいつが!」
「私たちだって健太みたいになりたくない!あなただって立場が違ったらそうするでしょ!」
「でも!」
「だいたい、健太が高熱だしたのだっておまえのせいじゃないか!」
いつの間にか健太の友達の男子たちまで加勢してきた。
「このまま、健太が目覚めなかったらどうしてくれんだよ!」
「そうだよ健太返せよ!」
麗香は何か言おうとしたが、チャイムが鳴ったので仕方なく席に着いた。
*
「そうか、学校でそんな事が・・・」
麗香はクラスメイトたちの夢のことと、健太のことを話した。
「お父さん!学校に訴えに行きましょ!」
「いいよ、そんなことしたって何も変わらない。」
「麗香の言うとおりだ母さん。それより、同級生たちの言ってる事が本当なら、一度心霊関係の専門家にでも相談にでも相談して見るか。」
「何言ってるんですかお父さん。」
「もうこの際、麗香の苦しみがなくなるなら何でもいい。」
「・・・そうですね、ダメもとで行って見ますか。」
それから、麗香たちはあちこちの心霊専門家や病院を回ったが、どこに行っても幻覚は改善されなかった。
そうして、一月が過ぎた。
*
「あなたについている霊はあなたが生きているかぎり、離れることは無いでしょう。」
「そんな。」
「しかし、あなたについている霊は自殺という罪を犯しているので、成仏する事はできません。つまり、あなたが何の罪も犯さずに死ねば、霊と永久に別れることができます。」
有名な除霊師に、プラスになるのかマイナスになるのか判らない情報をもらった麗香は両親とともに道に出た。
「そろそろ行くあてもなくなって来たね。」
などと言っていると。
「「「「「「「麗香」」」」」」」
突然、四方八方から、麗香の名を呼ぶ声が聞こえた。
「え?」
麗香が顔を上げると、周りの人間が全員琴田だった。
「ウソ!助けて!お母さん!」
ところが、両親がいるはずの場所には二人の琴田がいる。
「麗香、やっと実体化できたよ。」
「イヤー!ヤメテー!」
麗香は走って家に帰った。
「はあ、はあ、やっとついた。」
麗香は家に入ると、窓の鍵を閉めて閉じこもった。
ところが、
「ガッシャーン!!」
琴田は金属バットで窓を破壊して入って来た。
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