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「なぁ島田、龍のやつまた告られたってよ。今度は一年の超可愛いって噂になってる子。俺、まじどうしよう…」
昼飯時間中、そんな話題を振ってきたのは
同じクラスの小野田渉瑠。
「どうしようって…あのなぁ、”可愛い”って理由で女子にホイホイなびくような奴が、そもそも男のお前と付き合ったりしねーだろ…そんな心配すんなって。」
「いや分かんねえだろ、いつ龍が”俺はやっぱり女の子がいい”なんて言い出すか…」
渉瑠はそう言ってハァ~っとため息をつき項垂れている。
狭川龍。俺の友達でもあり、渉瑠の彼氏でもある。二人は男同士だけど付き合ってる。
もちろん、公にはしてないけど。
俺と渉瑠と龍は去年同じクラスでずっと連んでいたのだが、その時からお互い好き同士だったみたいで、いろいろ経て今では晴れて恋人同士というわけだ。
一年間ずっと三人で連んでいたのに二人のそういう雰囲気に全く気付けなかった俺は、自分が思っているより色恋沙汰に鈍いのかもしれない。
でもまあ
二人がある日突然
「俺ら、付き合うことになったから。」
なんてけろっとした顔で言ってくるもんだから、多少戸惑いはしたものの、なんだかんだであまり深く考えずに受け入れて、”男同士のカップル”がごく自然に俺の日常に馴染んでる。
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