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身体がよろめくのを感じて瞼を開けると、顔のない私がすぐそこに迫っていた。
相変わらず光や音は皆無。
寒気は感じるが、冷気が漂っているわけではない。
ただただ温度のない空間に、わたしは戻ってきた。
目の前で揺れる彼女は私の感情。気持ち。
あなたは、わたしをどうしたいわけ?
或いは、私を。
問いただそうとはしてみるが、彼女は笑うだけで答えない。
『ねぇ、新しい世界を創ろうよ』
わたしと、あなたで
楽しそうだ。
彼女がくるりと身をひるがえせば、髪の毛とスカートも舞うようにひらめく。
何、バカなことを。
私は死んでるのに、そんな【セカイを創りかえる】ことに意味なんてないじゃないか。
人ひとりにそんな大それたことが出来るはずがないし、もし仮にできたとして、私のいないセカイの世直しなんて自己満足他ならない。
もう、本当に、そっとしておいてほしい。
『本当にそうかな?』
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