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言葉は私に浸透する。
【セカイはミニクイ】
こんな世界は大嫌いだと思った。
【セカイはザンコク】
こんなセカイは潰れてしまえばいいと思った。
昔に付けた傷がずきずきと痛み、堪える様に掌を握りしめる。
下を向いて歯を食いしばると、何とか痛みを堪えることが出来そうだ。
『ちがう世界があったらいいのにと、そう思わない?そこでなら、もっと幸せになれたかもしれないと』
顔のない少女は誘惑するが、彼女がいったい私の何を理解しているというのだろう。
セカイの全てが大嫌いだった。
そのセカイに似合いなわたしのこともまた、反吐を出すほど大嫌いだった。
けれど、じゃあそのセカイがどんな世界だったかということを思い出すことが出来ない。
醜く汚く理不尽な生活をしていたような気がするのだが、どうにも思い出せないのだ。
どうだろ?私はそれでも、誰かを愛した気がするの。
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