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「なんとなぁく?
けど、
9時30分出勤のお嬢さんはもうそんな事気にしてる暇ないと思うけどな?」
その言葉に時計を見る。
9時15分…………。
「うそっ!?!?」
頭が真っ白になりそうなのを必死で抑える。
「さぁ、食べて、食べて~」
男の人はイスを引き、手招きする。
わたしはそれに素直に従った。
「い…ただきます…」
「どーぞ」
一口食べれば口の中でほどよく溶けるスクランブルエッグ。
「おいしい……」
どこかで食べたことあるような……気のせい?
食べながら考える。
「後3分」
「へ?」
「通行手段徒歩。
家から仕事先まで歩いて10分から15分。そろそろ出なきゃでしょ?」
その言葉に食べる速度を上げる。
「服はハンガーにかけてあるから。
俺好みのにしたかったけど……
嫌がりそうだから、お嬢さんが普段着てるよう服にしてある。」
人の服まで!?
「あ、俺好みの着たかったらその隣にかけてあるから。」
「絶対着ません!!!!
ごちそうさまでした!!」
わたしの荒々しい口調に男の人は怒ることなく、寝室に戻るわたしを笑顔で見送っていた。
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