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寝室にはきちんと2着用意してあったが
無視。
身なりを整え、玄関に向かう。
すると
「お嬢さん、後ろからの足音にはお気をつけくださいね。」
え……?
ばっと後ろを振り向くと綺麗に笑う男の人。
全てが凍りそうなほど、綺麗に。
「後ろを振り向けば、闇に落ちることになるよ」
綺麗な笑みのまま、言った。
ぞわりと全身に寒気を感じる。
背中がドアという事だけで、いろいろな想像が働く。
もし、ドアを開けて、誰か立ってたら…?
もう、それは無視できないじゃない…
そんな考えがたくさんよぎる。
なにか、この人は…知ってるの…??
今のは忠告?予言?
なんなの?どういう意味で言ったの??
考えれば考えるほど、男の人の真意が分からなくて、その人にハマっていく。
「行ってらっしゃい、おじょーさん♪」
背中をトンっと押され外に出される。
「ひぁっ!」
声を上げたわたしの後ろでドア静かに閉じた。
「………………………」
ドアには謎の威圧。いや、わたしの考えすぎかもしれないけど、
このドアを開けていいのは帰ってきた時だけ
って言われてるみたい。
「………行ってきます…」
ポツリ、そう、ポツリ呟くように言ったはずが
「は~い、行ってらっしゃい」
ドアの向こうからそう返事が返ってきた。
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