26人が本棚に入れています
本棚に追加
その人の足音が頭の奥に響いてくる。
わたしの頭をよぎるのは悪い事だらけ。
どれも、この世からわたしがどんな方法で消えるかというものばかり。
逃げようとしても足が動かない。
いつの間にか肩が上下するほど息が荒くなってしまっていた。
その人はわたしの前でピタリと止まり、
ポケットから片方だけ手を出した。
その手はグー。
…………え、うそ。殴られる!?
身構えようにも体が言うことを聞かない。
「は……ぅ…………」
喉が締められたように掠れた声しか出ない。
最初のコメントを投稿しよう!