26人が本棚に入れています
本棚に追加
グーの手をゆっくり広げるその人。
な、なに……
「お嬢さん、これ落としたでしょ」
チャリ。
少し低めの声とともに手から出されたのは
わたしの家の鍵だった。
「え?………うそっ!?!?」
さっきまでの恐怖など忘れ、鍵を入れたはずのポケットを探る。
すると、
チャリ。
あ、、れ…??
ポケットを探った手から伝わる冷たい温度。
え?わたし、鍵、持ってるよ……??
ゆっくり目の前の人を見上げる。
「お嬢さん、知らない人に声かけられたら
よそ見禁止だよ?」
片方の口角を意味ありげに上げる目の前の人と初めて目を合した。
最初のコメントを投稿しよう!