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憂鬱な月曜日の朝。
良くないことは続くものだな、と他人事のように物思いにふけりながら、由隆はスマホを握りしめ流れに身を任せて交差点へと足を向ける。
「おい! 大丈夫か!?」
「うわ……すごい血……」
「近寄るなって! 今救急車が来る!」
「なんかね、轢き逃げらしいわよ」
「えー! 轢き逃げ!? あらまあ……可哀想にねえ……」
会社員やらOLらしきスーツに身を包んだ集団に加え、騒ぎを聞きつけてやってきたらしい近所の主婦たちが何やら騒ぎ立てている。
その交差点は、人で溢れかえっていた。
信号機が青を示しても車は動かず、戸惑ったように足踏みしていた。しばらくして近くの交番勤務らしい警察官が飛んできて、そこでようやく車の列が動き始める。
その様子を遠巻きに見ながら、由隆の足は自然とその交差点へと向けられていた。
それはまるで、好奇心に背中を押されたかのように思えた。
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