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テレビから聞こえてくるバラエティー番組の騒がしい声さえも無音になってしまう衝撃が頬から全身に走った。
私……泉先輩の手のひらに包まれている……っ!
「ムードねーな」
そうぼやいて先輩は私の頬を包んでいない方の手でテレビのリモコンを取り、消した。
そして一気に静寂が私達の空間に出来上がる。
先輩は照れくさそうに私を見つめてくれている。
今のこの状態が信じられない私は、先輩の瞳を受け入れる事しか出来ないでいた。
「あー……照れる」
「はっ……はい?わ、私の方が照れますけど!いったい何がしたいんですか?!」
「うるせー」
そして今度は摘ままれる鼻の先。痛む私の顔を見て先輩は楽しそうに笑っている。
「あー、もう。お前のせいで粘る前に実っちまったじゃねーか。マジでダッセ」
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