943人が本棚に入れています
本棚に追加
そしてグレー色の鉄の扉の前に立つと、制服のズボンのポケットから鍵を取り出した。
それは間違いなくこのお家の鍵で……
私は先輩より3歩くらい後ろに立った位置で、息苦しいくらいの緊張に襲われ始めていた。
だって付き合ってもいないのに先輩の……しかも男の人の家に行くなんて……
「あっ」
そこで私はとても重要な事に気付く。
「あの、泉先輩」
先輩の制服に裾を掴んで小声で問いかけた。
「先輩……彼女さんとかいないんですか?わ、私が本当にお邪魔していいんでしょうか?」
私が震える声で問いかけると、泉先輩は少しだけ後ろを向いて、瞬きをした。
そして視線を上に向けて何かを考えると……
「もし俺に彼女がいるって言ったらお前、帰んの?」
最初のコメントを投稿しよう!