誕生日

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中に入れば、そこはまず必要最低限の家具が置かれた6畳ほどの和室があった。 そして両サイドに襖の部屋があり、この和室と続きで3畳ほどのキッチンがある。 「狭すぎてビックリしたろ。まー、ここらへんの家はみんなこんな感じだけど」 「い、いえ……無駄なものが無くて、いいです」 「ぶはっ!必死に褒めようとしなくていいっつーの」 キッチンにいた先輩は2ドアの冷蔵庫の中を漁りながら、本当におかしいのか肩を震わせて笑っていた。 何かした方がいいのか、それとも何もしない方がいいのかわからない私は立ったまま先輩の背中をみていた。 「適当に座って待ってろよ。あっ、左の部屋には入るなよ。そこ俺の部屋だから。入ったらキレるからな」 「キ、キレ……絶対に入りませんっ」
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