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「料理……出来るんですね」
「まーな。芹沢のしょっぱい生焼けの卵焼き以上にうまいもんは作れる自信はあるな」
私のお弁当の卵焼きを食べた時の事を言っているんだ。
にやっと口角を上げて意地悪に笑う先輩の顔に、私なりの意地が少しだけ顔に現れた。
「あれからいっぱい練習しましたもん。あの時よりはマシになってます」
「へー、じゃあ作ってみろよ。卵なら買ったばかりでいっぱいあるから。いくらでも失敗出来るぞ」
「し、失敗なんかしませんっ!」
ちょっと強めに言い返しながら、先輩の隣に立つ。
凄く不思議な光景だ。
泉先輩と、先輩の家で、2人でキッチンに立っているなんて。
狭いキッチンには2人で立ったら腕と腕が触れ合いそうな距離。
改めてこの近さを実感して、胸の高鳴りはますます大きくなっていった。
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