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「おら、出来たぞ」
まるで飼い犬に餌を与えるみたいな言い方で、私の前には半熟卵が乗ったトロトロのオムライスが置かれた。
「わっ!すごい、お店みたい!!」
「みたいじゃなくって、見た目は店で出してるのと一緒だっつーの。火力とか食材は全く一緒じゃねーけど、それでもど素人が作るよりは美味いぞ」
「見ればわかります!先輩ってばお花だけじゃなくって、こんな特技もあったんですね」
先輩と時間を共にする喜びを噛み締めていたところに、さらにテンションが上がるものが加わった。
横に並んでいる私の自信作の卵焼きがとっても貧相に見えるくらい、それは輝いて見えたんだ。
「……あー……、女は好きだろ?こういうオムライスとか」
先輩が後頭部を掻きながら、私の斜め前に座った。
思っていたより近い距離に、胸の鼓動は問答無用に跳ね上がる。
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