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その鼓動の音を意識しながらも、私は震える声で答えた。
「はい、好きです……」
その言葉には色んな意味が込められているけれど。
ただ偶然、私を拾った先輩には絶対に全ては伝わっていないと思うけど、私なりに精一杯の気持ちを込めて答えた返事だった。
「じゃー、これでいいだろ」
「何がですか?」
胡坐姿で膝に両手をついて私を俯いた角度から見上げる先輩の瞳は、恥ずかしさが混じっているけれど、私の反応を期待してるような輝いた瞳だ。
「一応……誕生日プレゼント」
「……えっ?!」
「ったく、先に言うなよ。作り終わってから言うつもりだったのに、先に言われたら俺、スゲーダサい」
盛大なため息をつきながら、そっぽ向いた先輩の横顔を見て胸が苦しくなるくらい嬉しさが込み上がってきた。
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