先輩と2人っきりの夜

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お互いの誕生日プレゼントの食事が終わり、お家へお邪魔したお礼に食器洗いを自ら申し出てキッチンに立った。 意気込んでキッチンに立ったのはいいけれど、先輩は作りながら洗い物をしていたのか今、食べたお皿やスプーン以外ほとんど残っていなくて、短い時間で洗い物は終わってしまった。 それからどうしよう……っと部屋中をとりあえず見渡して、私はある事に気付く。 「そういえば先輩……お花、飾ってないんですね」 「あぁ」 「学校では園芸部員をするくらいお花が好きなのに。どうしてお家では飾らないんですか?」 些細な疑問だった。 だって泉先輩を見るのはほとんどが学校の中庭か保健室だ。 それに私が保健室で気分が落ちていた時、チューリップを持って来て見せてくれたくらい花には熱心なのに。 この家には、花が一つもない。 それが不思議だったんだ。
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