先輩と2人っきりの夜

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「お前って好きな奴、いねーの?」 なんの脈絡もなく、突然泉先輩が私に聞いてきた。 まさかそんな話になるなんて思わず、空耳かって疑ってしまう。 「…………」 「おい、俺が質問してるのにダンマリかよ」 「はっ……!わ、私にその質問ですか?」 「ここに俺とお前以外、誰かいるのかよ」 それはそうだ。先輩の家には隣同士で座っている私と先輩以外いない。 でも、まさかそんな話の内容になるとは思わなくて、無言の状態が続く。 私に対して呆れているのか、先輩からは何もそれ以上は聞かれない。 ただ、さっきの先輩の声がずっと頭の中でリフレインしていた。 「ど、どうしてそんな事聞くんですか?」 結局、喉から絞り出して出した言葉は逃げる方法しか思いつかなかった。
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