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私が精一杯勇気を出して言った質問に、泉先輩はヘアピンで止めていた前髪の生え際を指先で掻いていた。
そして数分にも思えた無言の後、口を開く。
「んー……微妙」
「び、微妙?」
「あー、微妙は微妙なんだよ」
照れくさいのかいつもみたいに乱暴に終わったと思ったこの会話。
でも、先輩はまだ続きを話してくれた。
「最近、もしかしたらいいかも……って思ってたら、相手にされてなくて粘るか諦めるか考え中」
ため息交じりに伝えられた先輩の誰かへの想いは、私を簡単に真っ暗な底に気持ちを落としていく。
先輩……そんな人、いたんだ。
「そ……ですか。そ、それじゃあ粘らないと!それに気持ちは早く伝えなくちゃダメですよ!誰かに先を越されちゃうと、そのぶん、自分が不利になっちゃうし!」
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