先輩と2人っきりの夜

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「……それこそ、相手次第だろ」 「あはっ。そうですね」 泉先輩は言葉少なめに私の励ましを受け止めてくれた。 そんな言葉に私も空元気で答える。 そして、この話題はもう終わるだろう……そう思っていたのに、先輩は私にこう問いかけてきた。 「芹沢……の好きな奴って誰?」 終わったと思ったこの会話。なのに、先輩は一度振り出しに戻した。 「はっ……えっ?」 「答えろよ。さっき答えてねーだろ」 目は伏目がちになり、視線も斜め下を向いている。 でも、顔はしっかりと私の方を向けたまま、譲らない態度で問いかけられる。 「そ、そんな事……言えません」 「あっ?なんでだよ」 「なんでって……」 そんなの、玉砕決定の恥ずかしい告白になるだけに決まってる。 だって私が好きな人は、今目の前にいる泉先輩なんだから。
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