941人が本棚に入れています
本棚に追加
/353ページ
「私……の好きな人は」
きゅうっとシャツを目いっぱい握った。
皺になっちゃうと思ったけど、ここまで込み上がってきた感情を抑えるのには何かに掴まっていないと耐えられなかったんだ。
「私……私は_____」
その時、泉先輩が少しだけこっちを振り返ったのがわかった。
せっかく顔を見ないで済むと思ったのに……
でも、言い出した言葉はもう止める事は出来ない。
ちょっとだけ視線を上にして、僅かに溜まる涙を必死に止めながらとうとう私は伝えてしまった。
「私は、先輩が好きです。泉先輩の事が……ごめんなさい」
最後に出た言葉は、胸の内から流れてきた本音。
先輩には好きな人がいるのに、困らせてごめんなさいって事だ。
でも、どうせ先輩の事だから特に気にせずサッパリと振ってくれると思う。
最初のコメントを投稿しよう!