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「はっ……?」
少しの間があって聞こえてきたのは泉先輩の間抜けな声だった。
本当、聞いた事がないくらいの抜けた声。相当、驚いたみたい。
「えっ?……お前、今……なんて?」
上擦った声で先輩が私の顔を凝視している。
上と下の唇を合わせて力を入れている私は、恥ずかしさで顔が燃え上がってしまいそうなくらい、熱くなっている。
それでも、もう後戻りは出来ないからなるべく先輩の顔を見ない様に、目を瞑りながら言葉を続けた。
「だ、だから……私が好きなのは泉先輩なんです。先輩が他に好きな人がいるって事さっき聞いちゃったけど、それでも好きなんです。
だから、ごめんなさいって……」
そんな私の震える声に被さってきたのは、先輩の「ちょっと待てっ」っという焦る声だった。
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