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「俺の好きな奴のなんだよ。おら、言ってみろ」
「うっ……」
「質問は最後まで言えよ。授業で習ったろ?自分の意見は最後まで言いましょう」
「ほ、ほとんど授業なんか受けてないくせにぃ……」
「まっ、そうだな。半分は単位のため、半分はお前に会いに行ってたもんだから」
もう、目の前がチカチカする。だって泉先輩の顔がぼやけて見える。
でも、それでも真っ直ぐ感じるものがある。
それはすぐそばに寄って来る先輩の顔から迫ってくる視線だ。
どうにかして逃れたいけど、でもこの熱い視線からはどう頑張っても逃げられそうにない。
私はすぐそばにいる先輩にしか聞こえない声で問いかけた。
「泉先輩の好きな人の名前……教えてください……」
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