先輩と2人っきりの夜

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相手の瞳に自分が映るなんて経験は初めてで…… 鼻と鼻が擦れそうなくらいの距離だから、ちょっとでも荒い息遣いをしてしまったらすぐにわかっちゃう。 それくらい、近い距離に私達の顔がある。 「……お互い、二個目のプレゼントの交換でもするか」 彼氏彼女になってからの、初めての誕生日プレゼントの交換…… その意味はいくら私でもわかった。 今の自分の唇の状態をきゅっと噛み締めて確認してから私は頷く。 目を閉じた先輩の顔が近寄ってきたから、私もそれに合わせてそのまま瞼を閉じた。 ふわっとマシュマロみたいな甘い雰囲気と柔らかさを一瞬だけ感じて、震える身体を支えてくれる彼の優しさを堪能する。 そして私は一人っきりだと覚悟していた16歳の誕生日を、泉先輩のおかげで最高の誕生日となって迎える事が出来たのだった_____
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