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その日は携帯の目覚ましのアラームで目を覚ました。
うつ伏せになって眠っていた顔をゆっくりと上げ、ぼうっとした視界のまま部屋の壁とにらめっこする。
「あぁ……先輩の部屋だ」
ポツリとつぶやいた独り言。
でもこれは寝言じゃない。現実だ。
結局私はあれから家には帰らず、泉先輩の家にお泊りをする事になった。
っと言っても、もちろん寝る部屋は別々で。
先輩のお母さんも帰って来るんじゃないかって聞いたんだけど、「客に呼び出されたら、まず次の日の昼までには帰って来ねーよ」っと言ってたから、私は帰らない覚悟を決めたんだ。
「……夢じゃ、ないよね」
震える指先で自分の唇にその先をあてる。
確かに感触は覚えてる。
……先輩と、キスをした感触。
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