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寝る前は余裕がなくて見渡す事もしなかったけれど、目覚めた今、ゆっくりと先輩の部屋を見渡した。
砂壁には時計以外何も貼ってなくて、家具も小さなタンスが一つとガラステーブル、そしてお布団と畳の上に積み上げられてる雑誌……
あんなに好きな花に関するものが一つもない事に、私は切ない気持ちが胸の中に募った。
先輩のお母さんに言われた言葉が引っかかっているんだろうなって……そう思えたから。
「そういえば先輩……起きたかな?」
布団をたたみ、大きすぎるジャージのズボンの紐を結びなおす。
これは昨日、泉先輩が寝る時に貸してくれた服。
先輩の上下ジャージを借りて寝る事になったけれど、あまりに大きすぎたから袖と裾も何回も捲ったし、ズボンもずり落ちないようにしっかりと紐を結ばなければいけなかった。
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