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省吾くんがとつぜん勝負に出たのは、 出会って一年近く経った頃だった。 父はジャズフェスに泊まりがけで出かけ、 母も有給を取って同行していた。 裕之は、 スノボーだったか? 出張だったか? よく覚えていない。 今思えば、 この状況を省吾くんは 私以上に把握していたことになる。 インターフォンが鳴り、 ドアを開けると省吾くんがいた。 私は弟が泊まりがけで どこかへ行った事を知らなかったので、 てっきり裕之が酔っぱらって カギでも無くしたかと思ったのだ。 裕之は酔うと「鍵なくしたー!」って言うけど、 探してないだけで大体ちゃんと持っている。
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