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リビングの隅に傷だらけのランドセルを放り出す様に置いて、ケンサクは冷蔵庫を開けた。
紙パックのオレンジジュースをグラスに注いで、スナック菓子を持ってリビングのソファにドカッと座る。
その振動でホーもソファから飛び降りた。
スナック菓子をつまんだ脂だらけの手でテレビのリモコンを押した。
たまにリモコンをホーが舐めてる。
それはこのケンサクが触った後を舐めてるんだとわかった。
「ママ、何処行ったんだろう。お前知ってる…」
ケンサクは私の顔を覗き込んで言う。
知ってるけど、教えてもわかんないでしょ…。
私はそんな顔でケンサクを見てた。
ケンサクもそう言うけど、そんなにママの行き先を気にしてる訳じゃない。
それも私にはわかる。
だってママが居ないと自由にお菓子食べてジュース飲んで、テレビ見れるし宿題後回しでいいし。
「このままママ帰って来なきゃ塾行かなくていいのになー」
とうとう言っちゃった。
心配しないでいいよ。
塾の時間までには必ずママは帰って来るしね。
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