第1章

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水の音がして…あったかくて まるでお母さんのお腹の中にいるみたい… そんな不思議な感覚が体を通して 伝わってくる。 僕は何でこんな感覚に陥っているのか 不思議でたまらなかった。 だって、昨日まで雫と普通に生活 していただけだから。 もしかして何かに巻き込まれて 死んでしまったのではないか、 そんなふうに思い天国の風景でも 見ようと薄っすら目を開けてみた。 でも視界に入ったのはただ赤い色。 それに目に液体が入ったみたいに痛い。 これは…血? そう思うと恐ろしくて水の抵抗が あるにもかかわらず激しくもがき暴れた。 嫌だ…こんなところにいたくない! また雫と一緒に…! そんな思いも裏腹、でれるはずもなく ただ体力だけが虚しく消費されて ゆくだけだった。 その時の何かが起動する音と共に 筒状の水槽みたいなところに入っていた のだろうか、段々水位が下がり僕は そのまま外へ押し出された。 外…出れたの? 状況が掴めずぼんやりとあたりを見渡すと 白衣を来た中年の男性が近づいて来て 「おめでとう、第一非検体君」 「ひ…ひけんたい?」 たかが小2の頭脳だ。 非検体なんて難しい言葉 わかるはずがない。 頭の上にクエスチョンマークをたくさん 浮かべると白衣を着た男はニコッと笑って 「うん、君はね妖怪と人間のハーフ になったんだよ」 そんな言葉を聞いて「そうなんですか」 なんて頷けるわけもなくだだ頭は 混乱していた。
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