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4本の足がシンと静まりかえる小さな家の前で止まる。
エル「あー、やっぱりもう寝ちまってるかー。」
ノエル「まあ、普通に今は皆寝ている時間だからな。」
エル「なら、起こさねーようにしないとな。」
エルはそういうと、扉の前に手をかざした。それに、一度首を傾げたノエルだったが、家を覆うように張られている『結界』を感じ取り納得した。この結界はエルの家だけでなく辺りの家にもみられた。
エル「なーに、キョロキョロしてんだ?中に入んぞ?」
ノエル「あ、うん。」
エルがドアノブを回すとガチャリと音が鳴る。2人が中に入ると、ペタペタと足音を立てながら何かが近づいてくる音が聞こえた。
?「ぅん~.......だれかいるのぉ?....ふわぁぁぁ....。」
暗闇では時折、欠伸のような声を漏らしながら、ソプラノ声が聞こえてきた。その声を聴くとともにノエルの隣で『あちゃ~』と小さくつぶやかれた。
ノエル「?どうしたんだ、エル?」
?「.....え、る?.....!?っ。エルにぃ?」
ノエル「うわっ!!」
前方からドタバタと走ってくるような音が聞こえたかと思うと、エルの―――――ではなく、ノエルの足に何かがぶつかってきた。ノエルは、その物体を確かめるべく、『光』を詠唱破棄して、足元を照らした。
そこには、5歳くらいの男の子がノエルの足にしがみついていた。
突然の光に驚いたのか、男の子が顔を上げた。ノエルの瞳には、額が見えるほど短く切られた男の子が目に涙を浮かべてノエルを見ている姿が映し出されている。
?「.....にぃ?」
ノエル「え?」
エル「おいおい。長いこと顔見てないからって、にーちゃんの顔まで忘れてねーよなぁ?」
そうからかったような声が聞こえるとともに家の中が明るくなった。
ノエルの前にはエルと似た色の髪や瞳を持つ子どもがいた。
ノエル「...えーと、こんばんは。」
?「.....。」
ノエル「ハハッ。驚かせちゃったかな?ごめんね?」
?「.....。」
エル「こーら。ノエルが挨拶してんだろ?返事くらいしろ。」
?「!!エルにぃ!!」
男の子は瞬く間に笑顔になってノエルの傍まで来ていたエルに飛びついた。
エルは、驚いたような声を出しつつもしっかりと男の子を抱きとめたのだった。
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