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ノエルが再び赤い紐を巻いているだろう港長を探していると、騒がしい中でも聞こえる声が徐々に聞こえてきた。
その後、ノエルが声につられてやってくると、数メートル先に恐らくだが2人いるのがわかった。恐らくというのは、ノエルに背中を向けている人物が大きすぎる事と2人は若干斜めで向き合っているため少し体の一部がはみ出しているからだ。
?「ああ。それで構わない。続けてくれ。」
そんな声がノエルの耳に聞こえた。低く力強く冷たく聞こえ、それでもどこか温かい声が。ノエルがハッと我に返ると、巨体の男と話をしてただろう相手はすでに仕事に戻っていた。そして、ノエルの視界に入ったものは―――――
ノエル(!?っ...腕に......赤い、紐....。)
ノエルは、それを見た途端自分に未だ背中を向けている人物が今まで探していた”港長”だと理解し声をかけた。
ノエル「あの、すみません!!あなたは、ここで港長をしてらっしゃる”スオン・ユーリア”さんでしょうか?」
スオン「.....確かにここの港長は俺だが....何か用か?」
巨体の男―――スオンはノエルの方へゆっくりと体を向けると少し片眉を上げ怪訝な顔で答えた。
エル(!!うわっ、でけぇ。この人、無言になると威圧感感じんな~....。)
ノエルは内心少し怯えるが、ここで引いては彼ら元海賊たちを雇うことを頼むときに支障が出てはいけまいと詰めていた息をフッと吐きだし、少し俯いていた顔を上げ無表情で見つめてくる相手の瞳を真っ直ぐ見た。
ノエル「....あなたに頼みがあります。」
スオン「...わかった、話は聞こう。だが、ここで話をすると皆の邪魔になる。」
そう言ってスオンは、クルリと方向転換し奥へと歩いて行った。ノエルもスオンを追うように歩いた。
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