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心を隠すことは難しい。
が、それ以上に心を外に曝け出すことが、わたしにはなお難しい。
恋愛感情だけに限っても、わたしの苦手となっている。物心ついて以来ずっとなのだ。
さすがに最近では気にしなくなったが、それには容姿の問題が大きく関与している。
妹が生まれるまでは母が、妹が生まれてからは妹が、わたしの美の天敵を演じる。わたしと妹は約六歳年が違う。父方の祖母の話では、その間にも母のお腹の中に子供が一人宿ったらしいが、経済状態から間引いたという。そんな経緯もあって妹は我が家に望まれ、生まれたのだ。実際妹の誕生には、わたし一人を除く、我が家全員が沸き立っている。もちろんわたしだって、わくわく、していたはずだ。当時わたしは六歳だったが、六歳といえばまだ子供。自分の妹か弟の誕生を期待しないわけがない。が、それでもわたしはどこか恐れていたのだと思う。大人にはない子供独自の雰囲気センサで妹の誕生に怯えていたと思えるのだ。
かといって、わたしは母に我侭を言ったり、ましてや暴力を振るおうと思ったことは一度もない。
……なかったはずだ。
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