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『ナニカニセッショクシタラシイ。イジョウハナイガ、ネンノタメ、ジョウショウスル』
緊急事態とも言えるような状況に陥ったような雰囲気だったというのに、まるで、何事もなかったかのような、冷静で無機質な副チーム長の声。
無事を確認出来、ホッと胸を撫で下ろし、「了解。すぐに、こちらも準備する」と、返した。
「チーム長、調査艇の保護の……」
そう言いかけた時、チーム長はニヤリとした不気味な笑みを浮かべた。
「……よし。捕獲準備だ」
「は? 捕獲? 何のですか?」
彼の言っている言葉の意味が分からず、間抜け面をして聞き返す。
「……新生物。いや。海底生物というべきか。海底寄生生物と言うべきか……」
「え? 別に、今回の調査で、海底生物なんて何も捕獲していませんよ? ましてや、新生物なんて、見かけませんでしたし」
意図が全く掴めない俺は、わけが分からず、訝しげな顏をして声を荒げた。
何故か上機嫌な表情をしたチーム長は「まぁまぁ、落ち着け」と、俺を宥めてから、話し始めた。
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