降車駅

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 それから、いちごのかき氷についていた先っちょがスプーン型になったストローで、「一口ちょーだい」と言いながら、少年のかき氷を二口食べた。  キーン。  レモンシロップの甘酸っぱい香りと氷の冷たさに、あたしはギュッと目をつむった。 思えばかき氷なんて食べたの、小学生のときに遊びに行った夏祭り以来だ。  駄菓子屋の前で氷を貪り食いながら、あたしは「少年、学年は?」と問いかけた。  少年はあたしのいちごを物欲しそうに見ながら、それでも欲しいとは言わずに、「中三」とだけ答える。 素直じゃないなあ。 実に中学生らしい。 「お、受験生じゃん。あたしもなんだよ。受験生同士仲良くしようではないか」 「あんた、同い年なの」 「違う。三つ上」  あぁ、そっちか、と、少年はつぶやいた。  そう、そっちだ、と、あたしもつぶやいた。
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